JUZU a.k.a MOOCHYの「COUNTERPOINT EP」シリーズもいよいよ残り2枚、ついに8作目の登場となった。
これまでもこのプロジェクトで重要な役割を担ってきたセネガルの伝統音楽奏者、カラモ・シソコが奏でるコラと各種民族楽器が万華鏡のような景色を描き出す 天然ダウンテンポ「Light」(J.A.K.A.Mの盟友、Yoshimioもディープな歌声で華を添える)、 そして江藤敏典の演奏による琴と少々ダンスホール・レゲエ風のビートが不思議な調和を見せる「Stars」。
これまでイーヴンキックを基調としていたこのシリーズでは異色とも言える極上のメロウ・ブレイクビーツ2曲。ひとつひとつの演奏が溶け合い、 まるでひとつの生命体のように蠢くこの2曲もまた、J.A.K.A.Mの脳内にある世界観/宇宙観を音像化したものなのかもしれない。
大石始(ライター/エディター)
2010年にリリースされたアルバム「Re:Momentos"Movements"」から4年、 JUZU a.k.a.MOOCHYのJ.A.K.A.M.名義での連続リリース企画第八弾目が8月11日にリリース!!
今年の1月から連続して発表されているこの“COUNTERPOINT”シリーズも、今回を含めてラスト2作品となりました。
日本の先鋭ミュージシャン達とのコラボレーションはもとより、今までもアジア、南米など様々な場所へ自ら赴き、そこで出会ったミュージシャン達の演奏を録音し、 それをもとに革新的な音世界を構築してきた J.A.K.A.M. ですが、このシリーズでは更に中東、アフリカまでもその範囲は広がり、 そこでの強烈な音と Vibes を投入し、その土地が持つ歴史や息づかいまでもが入魂されたかのような強力な作品群となっています。
SIDE Xの“Light”は、BOREDOMS、OOIOO等様々なグループで活躍するYOSHIMIOの大地を揺るがすスケールの大きな歌声が、 コラという西アフリカで700年もの伝統を持つ弦楽器の切ないメロディに乗る雄大なトラックです。
エジプトの弦楽器・ラバーバ、管楽器Mizmar 、アフリカから中東、アジアまで幅広く使われるパーカッションのダフ等が絡み合い、 グリオ家系の継承者であるLA在住のセネガル人 カラモシソコが演奏するコラとイスラム的な歌、 そして YOSHIMIO の歌声が交じり合い生まれたこの独特な音世界は、まだ人類が文字を持たない頃から音楽が異世界と交信する 媒介であったことを思い出させ,古代から脈々と続く、深いスピリットを感じずにはいられないでしょう!
MIX は NY 在住の日本人、Masters At Work 等で幅広く知られる“ Little ” Louie Vega の専属エンジニアである Yas Inoue が担当。 今回も抜群のクオリティに仕上げてくれています。
SIDE Yの“Stars”は、揺らめく星屑を思わせるウワモノと和を感じさせる琴のメロディに、 変拍子ブレイクビーツとDEEPなベースラインが絡み合う、 J.A.K.A.M.の源流のひとつであるベースとリズムが前面に押し出された、 (ぜひとも爆音サウンドシステムで聴いていただきたい!)DOPEなブレイクビーツ+BASSチューンです。
ちなみにこの曲に琴で参加している江藤氏は、90年代中期 J.A.K.A.M.がオーガナイズしていた、JUNGLE/DRUM’N’BASS最強パーティ “RHYTHM FREAKS”に来て、その現場で爆音で尺八を流していた J.A.K.A.M.のDJを聴き、 古典を演奏している自分自身を肯定できたという逸話がありますが、時を経てこのトラックの中で表現された世界は、とてもサイケデリックであり、 想像力を掻き立てられる事は必至です!
こちらの MIXはJUZU a.k.a. MOOCHY本人が担当。
J.A.K.A.M.だからこそ作り出せるスケールの大きな音像となっています。
J.A.K.A.M.の音世界は、例えば現在世界的な盛り上がりを見せる ベースミュージックやハウスミュージックにも繋がっているのは明らかではありますが、 アジア人としての独自の新しい世界観を拡張するとともに、 音楽が持つ可能性をより進化させようとしているのは間違いありません。